2020/02/23
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『1917 命をかけた伝令』(原題:『1917』)を観に行ってきました.
あらすじはシンプル.第一次世界大戦中のイギリス軍対ドイツ軍の前線.ドイツ軍が退却したことが罠であることに気づいた司令官は前線の部隊に進軍をやめるように命令を出す必要がある.しかし通信するための電話線は切られているため伝令を送ることになった.というもの.
この作品を大きく特徴づけるのは、なんといっても長回しの収録映像.よく見れば、ここのところでいったんカットを入れていそうだなと思うシーンはあるのですが、映像がずっと続いていく様子は没入感があります.と同時に、カメラワークがここまでは前から撮り続けて、ここでいったん脇にそれて、ここからは後ろから撮っているのかとか、鉄条網をかいくぐって進んでいるけど、並行してなにもない場所がこっちにあるのは変だよね的な撮影者側の視点も感じてしまうのが不思議な感じでした.
ストーリーはシンプルだからか、なおさら戦争の怖さというか非道さのようなものを感じさせられます(英米合作映画なのでイギリス軍は基本的にいい人として、対するドイツ軍兵士は徹底的に悪者として描かれています).
2020/01/26
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『テリー・ギリアムのドン・キホーテ』 (原題:The Man Who Killed Don Quixote)を観に行ってきました.
「構想30年、挫折9回」と銘打たれているように、以前から企画や制作がされているという話を断片的に入ってきつつも、頓挫したというニュースも入るなど、もはや完成はされないのではないか、テリー・ギリアムが天寿を全うするのが先なのではないかと思っていたのですが、なんとかこうして無事に完成できました(当初構想していたものとは違うものに仕上がったようですが).
上映する前からカルトな映画であることは明らかであり、上映館も東京都内でさえ4館(日比谷、新宿、池袋、立川)と少なく、最寄である新宿はミニシアター系なので混雑するかなと思って(カルト映画はコアなファンが多いですし)、海老名のTOHOシネマズに出かけてきました.150人ほど入るところで3-4割は入っていたので、思っていたよりも多いかなという印象でした.
—(ここからネタバレ的な要素を含む文章が入ります)—
主人公は映画監督(この時点でぐちゃぐちゃな展開が予想されます)で、スペインで撮影を行うもまったくうまくいかず、頭を抱えていたところに物売りから以前に自分が制作した「ドン・キホーテ」のDVDを入手します.自分が滞在しているところがかつての撮影をした場所にほど近いことに気づき村に向かってみると、自分が映画を撮った影響で村の人たちの生活は一変していた…… というのが基本的なストーリーです.
ドン・キホーテ役に起用した靴職人の老人は自分がドン・キホーテ本人であるという妄想に取り憑かれ、ヒロインとして起用した食堂の娘は映画監督の言葉を鵜呑みにして俳優で生計を立てるべくバルセロナに行くも落ちぶれて悲惨な生活を送り、そしてそれらに映画監督自身も巻き込まれていくという、テリー・ギリアムらしい現実と二重三重の妄想が入り乱れた作品です.現在と過去、妄想や幻覚、複数の宗教観、さらにはロシアンマネーがからみあい、観ていてももはやどれが現実なのかすらわからなくなるほどの混乱ぶりでした.
混乱した世界を理解すべくもう一度観てみたいような気もしますが、観たら観たで余計に混乱しそうな気もします.
一般的なかたにおすすめできるかといえば首を横に振らざるを得ないですが、テリー・ギリアムの撮った過去の映画やモンティ・パイソンが好きなのであればたぶん楽しめるでしょう.
2020/01/19
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『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』 を観に行ってきました.
2016年公開の映画『この世界の片隅に』に、当初は含む予定であった物語を追加したもので、上映時間も168分とかなり長くなっています.調べていて思ったのですが、『この世界の片隅に』を観てからもう3年ほど経過していたのですね.
『この世界の片隅に』ではわずかにしか登場しなかった「リン」の物語が追加されることで、単なるシーン増加ではなく『この世界の片隅に』よりも物語に幅が広がり、見終えたときの思いもまた複雑でした.
戦争により亡くなる人、心身ともに治らぬ傷を負う人、映画が終わるときには生きながらえていても原爆の後遺症で長くは生きられないことを示唆されている人…… 様々な人が登場し、それぞれが交錯し、観ている側に様々な感情を引き起こされます.
長い映画ですが、観にいく価値は十分にあると思います.長いなぁと思われるかたはせめて『この世界の片隅に』のほうを観ていただければと(こちらも130分ほどありますが).
ところで映画の本筋とは関係のないことですが、登場人物は元素記号を元ネタにして名前が付けられているとのことで、「すず」はそのまま「スズ Sn」、妹の「スミ」は「オスミウム Os」といった具合なので今回新たに登場したキャラクタも見ながら「テルル」かなと思ったりしていました(テルビウムかもしれませんが).
2020/01/13
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映画『フォードvsフェラーリ』を観に行ってきました.
安価で魅力に乏しい大衆車を作っているフォードが若者にアピールするためにレースに参入しようと計画.当初はフェラーリを傘下に収めるべく交渉したものの、決裂.フェラーリに小馬鹿にされて怒ったフォードがル・マン24時間レースでフェラーリに勝つべく挑戦する…… という、史実に基づいたストーリーです.なので登場人物は実在する人物ばかり.でもそれなりに脚色されているようです.
レースシーンはCGではなく実写だそうで、かなり迫力がありました.
残念なのは、『フォードvsフェラーリ』と銘打っているものの、実際には『キャロル・シェルビーvsフォードの上層部』とでもいうか、レースとは直接的に関係のない、自分の手柄にしたいフォードの役員のエゴと現場のいざこざみたいなものに主眼が置かれてしまっていること.レースで戦うスタッフやドライバーの奮闘みたいなものを自分はもっと見たかったです.フォード社内のいざこざはカットしてその分をフェラーリのフォードへの対抗心などを描いてくれればよかったのにと思いました.
2019/12/27
今年1年を振り返る、恒例の記事.
音楽や映画などについて.
■音楽
ここ数年の傾向として新しいアーティストの曲を聴こうという意欲が減退しつつあり、歳をとるってこういうことなのかなというのを痛感しています.
今年購入したアルバムでよかったのは、The Chemical Brothersの「No Geography」ですね.以前に比べて作品発表のペースは落ちてきているとはいえ、毎回期待を裏切らないアルバムをリリースし続けているのはさすがです.
■映画
今年観に行った映画は、
『アリータ:バトル・エンジェル』
『ガールズ&パンツァー 最終章』第2話
『時計じかけのオレンジ』
『T-34 レジェンド・オブ・ウォー』
『NO SMOKING』
『銀河鉄道の夜』
これに加えて、『ガールズ&パンツァー 最終章』第1話&第2話の4D版も観に行ってきました.
11月に3週続けて映画館に行っていたので今年は多めに映画を観たつもりになっていましたが、たいして行ってないですね.ものすごくよかった、というものはなかった感じでしょうか.本来であればこれに加えて年末に『この世界の(さらにいくつもの)片隅に』を観に行くつもりだったのですが、行きそびれてしまったので年明けに行くことにします.
『アリータ:バトル・エンジェル』は『銃夢』が原作ですが、原作とは内容がアレンジされており、なおかつ話の途中で終わっています.いかにも続編ができそうな終わり方ではあったのですが、いまのところ続編が作られるというニュースはないようです.
『時計仕掛けのオレンジ』は1971年の作品です.スタンリー・キューブリック監督の作品を映画館で見る機会は没後20年を迎えた現在としてはそれほどないかと思うのですが、昨年の『2001年宇宙の旅』に引き続き見ることができたのはラッキーでした.キューブリックの作品はジャンルは多岐にわたりますが人間の精神的なものをえぐるような内容が多くて、観たあとで色々と考えさせられます.
『NO SMOKING』は細野晴臣の音楽活動50周年を記念して作られたドキュメンタリー.テクノやアンビエントなど、その時々に応じて様々な楽曲を発表し続けてきた細野さんの生き方に少しだけ触れることができるような気がしました.