2017/09/24
VIDEO
映画『ダンケルク』を見てきました.
世界史は詳しくなく、ダンケルクの撤退戦についても知らなかったのでWikipedia で前知識だけつけてから観ましたが、なにも知らなくてものめり込める映画でした.
舞台はタイトルが示すようにフランス北端のダンケルクでの出来事を扱ったもの.時系列が「現地の兵士」「イギリス空軍の戦闘機」「救出する民間船」の3つに分かれており、最終的にはこの3つが同じ時刻に集約されるという構成になっています.
特筆すべきはリアリティの追求として第二次大戦で実際に使われていた実機の戦闘機などが使用されていること.もはや今の技術ではヴィンテージともいえるような戦闘機を使わずともCGですべてを代用できると思いますし、それに視聴する側としても見分けがつかないと思うのですが、そこがこだわりというものなのでしょう.
観ていて思ったのは背後や上空からドイツ軍に攻め込まれている状況で気を抜けばすぐに死が待っているという状況で、自分がその場にいたら生きてイギリスに帰るなんて到底無理だったろうなということ.今の時代に生まれて良かったです.
2017/04/19
VIDEO
映画『ひるね姫 〜知らないワタシの物語〜』 を観に行ってきました.
先日うどんを食べに高松に行った帰りに児島に立ち寄ったわけなのですが、児島駅はジーンズとともに「ひるね姫」のポスターや宣伝が多く飾られていました.映画自体の存在は知っていて、児島が舞台になっているのも知っていたので事前に観ておこうとは思っていたのですが、旅行直前まで仕事に追われていてそれもかなわず、結局は旅行から2週間ほど経ってようやく見ることができました.
主人公は高校生のココネ.彼女が見る夢と現実の世界が影響しあいながら話が進んでいく展開なのですが、興味深いのがテクノロジーの描かれかた.舞台は2020年、東京オリンピックが開催される3日前という設定で、オリンピックに選手を乗せて走行する自動運転車が物語のキーなのですが、従来の自動車(ハードウェア)と自動運転車(ソフトウェア)という対立構造になっているのです.ココネの夢の中でも車も工場もそしてあらゆる機械類もすべてハードウェアをその都度手動で動かしているのに対してソフトウェアは「魔法」という位置付けで使ってはならないものという、不浄なものとして扱われています.
ココネの夢の中でのソフトウェアが「魔法」として扱われているのは、ハードウェアのように目に見えるものではないからというのもあるのでしょうけど、「十分に発達した科学技術は、魔法と見分けがつかない」という、アーサー・C・クラークの「クラークの三法則」の一つにも通じるものがあるように感じました.
あまり詳細に触れるとネタバレになってしまいますが、ハードウェアよりもソフトウェアのほうが高度というか上位の位置付けとして描かれているのが気になりました.本来は車の両輪のようなもので、両方がバランスを持って成り立つことでより高度な技術として発展するものだと思うのですが.ソフトウェアを否定するわけではまったくありませんが、自動運転は個人的にはまだ信頼の置けるものではないと考えており、同時に運転する楽しさをもっと味わいたい自分としては、話の筋とは逆行しつつもハードウェアを応援したいなと思いながら観ていました.もっとも、あと3年たてば自動運転もいまよりはだいぶマシにはなるでしょうし、オリンピックのように交通規制を敷いた環境であれば事故の心配もなく走行できる可能性は高そうですが.
全体的な話の流れとしてはご都合主義とまではいかないものの、夢と現実をつなぐ部分をもう少し丁寧にしてほしかったなと感じました.
それから、舞台が岡山県倉敷市(児島)ということもあってか、ココネの父が「森川モモタロー」だったり、夢の中で登場するのが鬼であったり、土地の名前が「ヒルマウンテン」だったりと、ネーミングにいささか安直な印象もありました(ネタとしては面白いんですけどね).
2017/01/15
Apple iPhone SE + Microsoft Pix
VIDEO
『マッドマックス 怒りのデス・ロード ブラック&クロームエディション』が1月14日から公開されたので初日に観に行ってきました.映画自体は以前に観た『マッドマックス 怒りのデス・ロード』と同じですが、今回は全編モノクローム仕様.オープニングの映画配給会社のロゴから何からモノクロでした.しかもモノクロなのに4DXという、ちょっと珍しい組み合わせ.
ジョージ・ミラー監督がいうように、部分的にわかりづらい箇所はあるのは確かですが、カラーとは異なる魅力があったのも事実.車などの金属のギラッとした重厚な存在感、砂漠と人間のコントラスト、そうした部分はモノクロ映像によって際立った感がありました.逆にマッドマックスらしさともいえる火炎放射器や爆発の時に上がる炎はカラーに分がありますね.
土曜の25時、つまり真夜中の上映でしかも寒波が到来していて雪こそ降らなかったものの外気温0度という冷え込んだ環境ながら、公開初日だからか20人ほどの観客が訪れていました.
2016/12/29
今年1年を振り返る、恒例の記事.
今回は音楽や映画などを振り返ります.
■音楽
年々、新しい音楽を聴かなくなり、昔の音楽を繰り返し聴くようになってきた傾向が強まっています.これも年齢によるものでしょうか.
そんななか、良かったものをあげるとしたら、
・Slave of Love / ビッケブランカ
でしょうか.
最初に耳にしたのは、朝のJ-WAVEの番組.Queenの曲っぽいけど聴いたことがない、いやこれ日本語で歌ってるし、と思ったのがアルバム「Slave of Love」のタイトル曲「Slave of Love」でした.コーラスワークとピアノの美しさから日本のアーティストらしからぬ雰囲気を感じました.「Slave of Love」がメジャーデビュー盤で以前にインディーズで出したものも聴きましたが新しいものの方がいいですね.今後が楽しみです.
■映画
今年は「邦画の当たり年」なんてことも言われたりして、大ヒットの映画もいくつもありました.自分も以前にも増して映画館に足を運ぶことが多かったです.
今年見た映画をまとめると、次の9本(リンク先は自身のレビュー記事).
ガールズ&パンツァー 劇場版は去年の映画ですし、不思議惑星 キン・ザ・ザに至っては1986年の映画ですが.
・オデッセイ
・シャーロック 忌まわしき花嫁
・ガールズ&パンツァー 劇場版
・シン・ゴジラ
・エクス・マキナ
・ハドソン川の奇跡
・スター・トレック BEYOND
・この世界の片隅に
・不思議惑星 キン・ザ・ザ
どれか1つを選べと言われれば「シン・ゴジラ」でしょうか.公開2日目に見に行って衝撃を受け、結局10回見に行きました.Twitterで「絶対に観に行くべき」というようなツイートを見かけ、まあ怪獣映画ですし(こっち方面は疎いです)…… とそれほど期待をせずに観に行って、凄まじい衝撃を受けました.映像のリアルさもさることながら、東日本大震災を経験し様々な事象に翻弄される政府を見ているだけに、巨大不明生物に対する政府の様子もリアリティがありました.
上映終了後に拍手が起きたのも初めての経験です.
もう一つ、同じくらい良かった(方向性はかなり違いますが)のは「この世界の片隅に」.戦前から戦時中、戦後までを一人の女性の生活を中心に綴った映画で、舞台は広島と呉.戦争が内容に大きく関わってきますが、とはいえ中心なのは主人公である「すず」さんの生活.戦争により食べるものが少なくなり配給制になったり、空襲に見舞われつつも、どういう環境にあれ生活をしていくその姿には見入ってしまいました.
シーンの切り替わり時に入る日付により時間の流れが伝わってくるのですが、見ている側はこの後で起きる大きな災いを知っているわけで、このどうにもならない時間の流れを見るのがつらくもありました.終盤、エンディングが近い時になってボロボロと涙がこぼれる(話の流れとして大きな変化はないところだったのですが)という不思議な経験をしました.
■訃報の多さ
今年はミュージシャンの訃報が非常に多かった年のように感じられました.自分が影響を受けた方だけでも
・デヴィッド・ボウイ
・グレン・フライ(イーグルス)
・モーリス・ホワイト(アース・ウィンド・アンド・ファイア)
・キース・エマーソン(エマーソン・レイク・アンド・パーマー)
・プリンス
・冨田勲
・川島道行(ブンブンサテライツ)
・グレッグ・レイク(キング・クリムゾン、エマーソン・レイク・アンド・パーマー)
・ジョージ・マイケル(ワム!)
と多岐にわたります.
自分が歳を重ねれば、影響を受けたアーティストもさらに年齢が上がるわけで、仕方のないことなのでしょうけど、寂しい限りです.
2016/11/28
VIDEO
映画『不思議惑星 キン・ザ・ザ』 を観に行ってきました.
『不思議惑星 キン・ザ・ザ』は最近の映画ではなく、ちょうど30年前、1986年のソ連映画です.映像がリマスタリングされたのを機に再上映されたというわけです.
ジャンルとしては、SFであり、シュールなコメディであり、Wikipediaによるとディストピア・コメディなんて書かれていたりしますが、なんとも形容しがたい映画でした.自分がこの映画を知ったのも、SF映画でカルトとかマニアックと呼ばれるようなものを紹介した記事でこの映画が紹介されていたのがきっかけです.以前から一度観てみたいと思っていたところに、下高井戸シネマが1週間ほど上映するというので、この機を逃したら次はいつ見れるかわからないと、出かけてきました.
主人公マシコフとゲデバンは、地球に迷い込んで街角に裸足で立っていた宇宙人の持っている機械のボタンを押してしまい、別の星に飛ばされてしまう.そこでは幾つかの言葉以外は罵倒を意味する「キュー!」とそれ以外のすべてを示す「クー!」という言葉しかなく、鼻に鈴をぶら下げて奇妙なポーズをとるばかりで何を言っているのかすらさっぱりわからない.ここからどうやって地球に帰るか…… というのがあらすじなのですが、話が珍妙すぎて理論的な思考では太刀打ちできません.ソ連では公開当時1,520万人もの人が見たといわれていますが、ソ連の人たちの感覚ではこういう映画が好きなのでしょうか.それとも他に娯楽映画が少ないのか……
社会主義や管理社会を皮肉った作品という見方もあるようですが、社会主義国家に詳しくない自分としてはそもそもどこをどう皮肉っているのかもよくわからない感じではありました.ただ、身分証明書がないと旅行にすら出れなくて手ぶらなのをごまかすために「証明書はガイドに預けてしまって、はぐれたんだ」とか言ってみたり、丁重に扱って大使館に連れて行くようにとかいう台詞なんかはソ連っぽいなと思いました(自分の中の妄想するソ連ですが).
ではこの映画、面白いかどうかというと、なんとも判断がつきづらいです.少なくとも万人には勧められないけど好きな人にはたまらない.まさにカルトそのものといった映画です.