2013/03/31
デジカメで撮影した画像をその場でiPhoneなどのスマートフォンに転送したい、そういう目的のためにWi-Fiの機能を内蔵したメモリカードがいくつか発売されています.
自分も、Eye-FiやFlashAirを試してきました(Eye-Fiのレビュー)(FlashAirのレビュー).
ただ、どちらも以下のようなデメリットがあって、満足ができるレベルにはありませんでした.
■ Eye-Fi (Pro X2 8GB)のデメリット
・すべての画像をダウンロードしなくてはならないので大量に写真を撮ったときに非常に時間がかかる
・Class6なので遅い(あとから発売されたPro X2 16GBはClass10なので高速化されている)
■ FlashAirのデメリット
・Class6なので遅い
・ラインナップに8GBモデルしかない
JPEGで撮るのであればClass6でもそれほど不満は出ないかもしれませんが、RX1でRAW+JPEGで撮るようになると(RAW+JPEGで1枚あたり約35MBほどになる)、撮影→画像チェック→撮り直したい→削除→書き込み中なのでできません、という流れでイライラとしてしまうのです.
また、容量的にも8GBでは撮影枚数が200枚程度になるので、1泊2日の旅行などでもやや不安になります.
Eye-FiやFlashAir以外にもこうしたWi-Fi内蔵のメモリカードはいくつか発売されていますが、メモリカードなのでやはり信頼性は大切.それから、この手のWi-Fi内蔵のメモリカードの場合はクライアント側、つまりスマートフォン側のアプリの出来も重要になってきます.
その辺をふまえて調べてみたところ、
・TranscendのWi-Fi SDカード
・PQIのAir Card
の2つが候補になりました.
が、よく調べてみると、TranscendのWi-Fi SDカードはWi-Fiのオンオフ制御ができないことが判明.Wi-Fiは非常に電気を食うので、ただでさえバッテリ容量に不安のあるRX1では却下.
というわけで、PQIのAir Cardを導入することにしました.

Apple iPhone 5
同時にmicroSDカードを買っていることからもわかるように、Air Cardはメモリカードではなく、SD-microSD変換アダプタにWi-Fi機能を内蔵した製品です.なので、好きな速さのメモリカードを使うことができるのです.今回は速さで定評のあるSanDiskの秒速30MBの製品を選択.もっと高速な秒速90MBの製品もありますが、容量が16GBの製品までしかなかったのでこちらにしました.理論上は1秒ちょっとで書き込みが完了するので、撮影→画像チェック→撮り直したい→削除という流れでも待たされることはほぼなくなりました(シャッター切った段階で失敗だとわかってすぐ削除するようなものだと待たされますが).
下準備について.
Eye-FiやFlashAirもそうですが、Wi-Fiの設定などをする必要がある関係で準備に手間がかかります.
自分の環境(Apple MacBook Pro 13inch Retina / iPhone 5 / SONY DSC-RX1)では以下の手順が必要でした(2013年3月現在).
1. Air CardにmicroSDをセット
2. MacBookのSDカードスロットにセット
3. ディスクユーティリティで初期化(FAT)
4. PQIのファイルダウンロードページからファームウェアをダウンロードしアップデート
5. MacBookの無線LANを「PQI Air Card」に切り替える
6. Webブラウザで「192.168.1.1」にアクセスし、無線LANの設定をする(初期値ではパスワードすらかかってないので要注意)
7. RX1にAir Cardをセットし、管理ファイルの設定+保存フォルダの設定
8. もう一度MacBookにセット(なぜかこれをしないとWi-Fiオンオフ用の画面が出なかった)
9. RX1にAir Cardをセット
10. スマートフォンからアクセスして通信できることを確認
それなりに手順がかかるので、撮影する前にセットアップとテストしておくことをオススメします.
また、Air CardはWi-Fiを常時オンと事前に用意された画面を削除することでオンにするという2種類の制御ができます.これによってバッテリの消費を抑えることができるのですが、設定がややこしくなる要因でもあるので要注意です.

自分に場合はWi-Fiは通常はオフ、必要なときだけオンにしたいので、この制御用の画面を使います.
青い画面を削除するとWi-Fiが起動し、緑色の画面を削除すると公衆無線LANに接続します.また赤い画面を削除することで出荷状態にリセットされるそうです(未検証).青い画面を削除してからiPhoneが接続できるまでは20秒ほどかかります.
これらの画面は電源を入れ直すと復帰するとマニュアルにあるのですが、RX1の場合は復帰しませんでした.カメラとの相性のようです.対策としてはメモリカードまたはバッテリを抜き差しすることで再び表示されます.

スマートフォンアプリについて.
PQIからiOSとAndroid用にアプリ「PQI AirCard+」が用意されていますが、iOS版を触った感じではいまひとつ使いやすくない印象でした.なので非公式ながら評判のよい「AirPict」を使用しています.

すべてを取得、選択したものを取得の2つの方法でiPhoneに画像を取り込めます.すでに取得した画像は色が薄くなるのでわかりやすいです.

設定画面.Wi-Fiのオンオフ制御画面を表示させないようにしたり、JPEGのみ表示させるようにすることができます.
Wi-Fi経由でスマートフォンに転送できるのはやはり便利です.が、セットアップの煩雑さやバッテリの問題、操作性など、万人にお勧めできるところまではきていない印象もあります.もう一段のブレークスルーがほしいところです.
2013/03/16
RX1には純正オプションとしてサムグリップTGA-1が用意されています.本体購入と同時にこれも購入しました.

Apple iPhone 5
上:収納時、下:使用時
この製品、純正品らしく手の込んだ作りで使わないときは左に折りたたむことで本体の曲線に沿うようにして邪魔にならないようにする仕掛けになっています.が、可動式にした結果、ヒンジ部分に遊びがあってカタカタと動くのです.撮影時に親指をかけて安定させるためのグリップがぐらつくとは何事かと、以前から不満に思っていました.また、レバー式のロック機構がついているのですが、ロックの爪が非常に浅く、レバー自体も緩みやすいため、知らず知らずのうちにレバーが緩んで落下ということもありました.つまり、ギミック的にはおもしろいけど、製品のクオリティはもう一歩という感じなのです.
そういえば、以前にライカM8かM9用のサムグリップをサードパーティが出しているのを見たことがあったなと探してみたところ、CSEP-2という製品がRX1でも使えるらしいということが判明.また、価格.comの書き込みでも「装着時には,0.5mm 程度のプラ板等を下敷きにした方が良い」「寸法が微妙に異なる(奥行きは明らかに 2mm 位浅いですね)」とあるものの、装着した人がいることを確認.
海外で作っているようですが、ヨドバシで取り扱いがあったので注文.そして翌日には到着しました.

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
厚紙で作られた、ポップな感じの箱.箱の蓋はなんとマグネット.妙なところで手が込んでいます.

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
箱を開けたところ.なんかよくわからないものが入っています.

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
小袋に入ったものをどかすと、Thumbs Upが登場.ウレタンに包まれていて、リボンの片端が出ていたのでコレを引っ張ればThumbs Upが出てくるのかと引っ張ってみたら、ぶちっと音がしてリボンだけが手元に.仕方がないので隙間に指を突っ込んで取り出しました.

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
謎の付属品.メッセージタグとともに翡翠っぽい石でできたストラップがついていました.そして六角レンチも.

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
純正のTGA-1との比較.Thumbs Upのほうが指をかけることが長いです.

Apple iPhone 5
RX1に取り付けてみました.再生ボタンの縁の出っ張りに干渉して奥まで入りません.1mm程度浅い感じでしょうか.
価格.comで書かれていた「寸法が微妙に異なる」というのは、干渉して入っていないということですね.それから装着時にプラ板を挟んだほうがよいというのも間違いで、ホットシュー上部にねじ穴があり、ここを付属の六角レンチで締め込んで固定するようになっています.説明書のたぐいが一切ないのでわかりづらいところではあります.

Apple iPhone 5
上:Thumbs Up、下:TGA-1
指をかけるところの長さの違い.7-8mmくらい違う感じでしょうか.
また、高さも違いがあって、Thumbs Upのほうが高い位置にあります.TGA-1だと完全に再生ボタンとダイヤルが隠れますが、Thumbs Upだとどちらも操作できることからも明らかです.
長く、また上部に出っ張っているため、撮影モードと露出補正のダイヤルが若干操作しづらくなりました.
TGA-1とThumbs Up、まとめると次のような感じでしょうか.
■ TGA-1
○ 純正品としての安心感
○ 手に入りやすい
○ 使わないときにたためるので邪魔にならない
× ぐらつく
× ロックが浅く、ロックレバーも緩みやすいので外れやすい
× 上部のアクセサリシューもバネが弱いのでファインダなどがずれる
■ Thumbs Up
○ がっちりした剛性感
○ 取り付けたままでも再生ボタンとダイヤルが操作できる
○ 上部のアクセサリシューのバネが強めでファインダなどがずれにくい
× 取り付けできるものの、流用品なのでボディと干渉する
× 付け外し時に六角レンチが必要
× 国内では取り扱いが少なく入手が難しい
それぞれ一長一短ですね.自分は剛性感を優先してThumbs Upを使うことにします.
カタカタしない純正品、または専用設計で干渉のないThumbs Upが発売されたらまた考えようかと思います.
【2013.3.20補足】

Apple iPhone 5
干渉が気になったので、ヤスリで干渉する部分を削りました.そして、RX1本体と金属同士があたるところは革を貼って擦れて傷が付かないように、さらに指が当たるところのエッジ部分を紙やすりで軽く削りを入れてエイジング加工してみました.
これで安定感もあり、干渉もしないサムグリップとなりました.
2013/02/15
2泊3日の旅行に持ち出したRX1ですが、旅カメラとしてどうなのかということについて考えてみました.
まずその前に、自分の考える旅カメラに求められる条件をリストアップしてみました(括弧内はRX1の適合度).
・荷物の邪魔にならないそこそこのコンパクトさ(△)
・風景を撮るための広角レンズ(28mmくらい、できれば24mm)(△)
・遠くのものを撮るためのズーム(×)
・夜景を撮るための高感度特性、手ぶれ補正(○ or ×)
・食べ物を撮るためのマクロ(○)
・どこで撮ったかを記録するためのGPS(×)
・バッテリ長持ち(×)
こうしてみるとRX1、微妙なところでしょうか.
個別に検証してみましょう.
・荷物の邪魔にならないそこそこのコンパクトさ(△)
自分はこれくらいならOKだと思うのですが、一般的なコンデジを使うかたからすれば大きいと思うでしょうね.以前はD700に交換レンズも持っていってたりしたので、それに比べると十分なくらいダウンサイジングではあるんですが.
・風景を撮るための広角レンズ(28mmくらい、できれば24mm)(△)
35mmという準広角域をどう見るかでしょうか.風景ならば24mmか28mmが欲しいところで、自分も28mmのRX1があったらそっちを選んでいたことでしょう.とはいえ、35mmだと撮り方見せ方によって広角的な使い方もできるので、許容範囲内ではないかと思います.

SONY DSC-RX1
F5.6 1/320秒 ISO100
・遠くのものを撮るためのズーム(×)
単焦点35mmではどうにもなりませんね.ひとつの回避策として「スマートテレコンバーター」という機能を使う方法があります.自分は2,400万画素のモードではなく1,000万画素のモードで撮っているので、その余力分をクロップとして使うことで1.4倍、つまり画角49mm相当として疑似2焦点的な使い方をしています.さらに2倍というクロップもあるんですが、それだと460万画素モードなのでさすがにちょっと小さく、それは使用していません.1.4倍の中心部をトリミングするのと同じことですし.
・夜景を撮るための高感度特性、手ぶれ補正(○ or ×)
夜景を撮るには高感度特性や手ぶれ補正が求められます.手ぶれ補正は搭載されていませんが、ISO6400でもノイズを気にすることなく使える高感度特性は他の一般的なデジカメに比べて2,3段はシャッター速度を稼げるので手ぶれ補正がないぶんを十分補うことができます.
また、高速でシャッターを数枚切って合成するという「マルチショットノイズリダクション」もあるので、動かないものを撮るときにはこれも有効です.


SONY DSC-RX1
F8 1/10秒 ISO6400(下はトリミング)(高感度NRオフ)
・食べ物を撮るためのマクロ(○)
GR DIGITAL IVのレンズ前1cmまで寄れるようなマクロ機能にはかないませんが、撮像素子の大きさを考えたら20cm(レンズ前約14cm)は十分な性能です.
これだけ寄れれば、食べ物を撮ったりするくらいの用途では十分でしょう.

SONY DSC-RX1
F4 1/80秒 ISO500
・どこで撮ったかを記録するためのGPS(×)
GPSは撮影場所を記録しておく分には必須ともいえる機能ですが、自分はGPSロガーを持ち歩くのでそれで代用しています.
GPSはバッテリの負担が大きいので、後述するようにバッテリの消費が激しいRX1ではGPSの搭載はさらにバッテリ寿命を縮めることになりそうです.
・バッテリ長持ち(×)
バッテリは公称値で220枚.先日の旅行では100枚程度でダウンしました.とはいえ、2月の函館山という非常に寒い天候で、スローシンクロしようとフラッシュをポップアップさせたら、通常位置まで持ち上がらずに途中で固まってしまうほどだったので、一般的な気候であれば200枚はいけることでしょう.とはいえ、予備バッテリはやはりあったほうが安心です.
なんとなくあばたもえくぼ的な評価になってしまいましたが.運用次第である程度はなんとかなる、そしてそれらを補ってあまりある画質の良さというアドバンテージがあるというようなところでしょうか.
そもそもRX1自体が一般受けするカメラではないので、これでよいのかもしれません.
2013/02/07

SONY DSC-RX1(トリミング)
『極上カメラ100』という本を購入しました.
帯の「死ぬまでに絶対使ってみたいカメラ100!」というのが、物欲的なものを煽ります.
掲載されているカメラはもちろん100機種.4つのジャンル(レンジファインダー、一眼レフ、中判、コンパクト)に分けて掲載されています.歴史的なカメラだけでなく最近の新機種も掲載されていますが、はたして最近の機種のどれほどが後生まで語り継がれるようになるかは疑問の残るところでもあります.
自分が所有している/かつて所有していた機種としては、
・CONTAX G2
・CONTAX T2
・RICOH GR DIGITAL IV
・SONY DSC-RX1
がとりあげられています.

SONY DSC-RX1
1機種あたり1-2ページで紹介されているため突っ込んだ内容ではないのですが、初めて耳にするような機種もあり、名前だけは聞いたことあるけど見たこともない機種もあるので、写真を眺め説明文を読むだけでも楽しいです.
いまさらフィルムカメラを買うこともたぶんないとは思うので、いにしえの機種に手を出すこともなさそうですが、カメラ好きならば眺めるだけでもきっと楽しめる内容だと思います.
2013/02/04

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
RX1の記事を読みたくて久々にカメラ雑誌を買いました.
「F5.6」という雑誌で、初めて読みます.

RICOH GR DIGITAL IV
「F5.6」とは、カメラの絞り値を示す数値.雑誌の説明文をそのまま書くと「Fは絞りを表す記号、5.6は一般的な撮影で多用する絞り値です」とあります.まあ、このあたりはわかる人には釈迦に説法ですし、わからない人に数行で説明するのは不可能に近いので割愛します.
過去には「CAPA」や「カメラマン」、あと「アサヒカメラ」なんかも買ったりしていましたが、F5.6はそれらの雑誌に比べてテキストが少なく写真が主体なのがよい感じです.また、機材の情報などはそこそこきちんと紹介されているものの、スペックべったりな感じでもなく、ほどよいバランス感です.
あと、他の写真雑誌によくある、読者投稿写真がないのもいいですね.

Apple iPhone 5 + Hipstamatic
肝心のRX1の記事はそれほど多くなかったですが、他のページがおもしろかったので次も買ってみようかと思います.